医師・歯科医師の資格に対する行政処分については「(1)戒告」「(2)医業停止・歯科医業停止(3年以内)」「(3)免許取消」の3種類の処分があります。

戒告

戒告とは行政処分の対象となった非違行為について、再発を防止するように戒める処分です。3種類の行政処分の中では最も軽いものです。

医業停止・歯科医業停止

医業停止・歯科医業停止とは定められた期間、医業・歯科医業を行うことを禁止する処分です。3年以内で定められる停止期間を過ぎれば、また医業・歯科医業を行うことが出来ます。

免許取消

免許取消とは医師・歯科医師の免許を取り消し、医師・歯科医師の資格を失わせる処分です。極めて重大な処分ですが、処分事例は多くありません。

行政処分が行われると厚生労働大臣から命令書が届きます。停止処分の場合、命令書の作成日付から概ね2週間後が停止の始期とされていることが多く、法律上はそれまでの期間、医業・歯科医業を行うことが出来ます。

なお、上記の行政処分については医道審議会医道分科会資料で考え方が掲載されており、以下のような基準で処分が行われます。

医師、歯科医師の行政処分は、公正、公平に行われなければならないことから、処分対象となるに至った行為の事実、経緯、過ちの軽重等を正確に判断する必要がある。そのため、処分内容の決定にあたっては、司法における刑事処分の量刑や刑の執行が猶予されたか否かといった判決内容を参考にすることを基本とし、その上で、医師、歯科医師に求められる倫理に反する行為と判断される場合は、これを考慮して厳しく判断することとする。

医師、歯科医師に求められる職業倫理に反する行為については、基本的には、以下のように考える。


① まず、医療提供上中心的な立場を担うべきことを期待される医師、歯科医師が、その業務を行うに当たって当然に負うべき義務を果たしていないことに起因する行為については、国民の医療に対する信用を失墜するものであり、厳正な対処が求められる。その義務には、応招義務や診療録に真実を記載する義務など、医師、歯科医師の職業倫理として遵守することが当然に求められている義務を含む。


② 次に、医師や歯科医師が、医療を提供する機会を利用したり、医師、歯科医師としての身分を利用して行った行為についても、同様の考え方から処分の対象となる。


③ また、医師、歯科医師は、患者の生命・身体を直接預かる資格であることから、業務以外の場面においても、他人の生命・身体を軽んずる行為をした場合には、厳正な処分の対象となる。


④ さらに、我が国において医業、歯科医業が非営利の事業と位置付けられていることにかんがみ、医業、歯科医業を行うに当たり自己の利潤を不正に追求する行為をなした場合については、厳正な処分の対象となるものである。また、医師、歯科医師の免許は、非営利原則に基づいて提供されるべき医療を担い得る者として与えられるものであることから、経済的利益を求めて不正行為が行われたときには、業務との直接の関係を有しない場合であっても、当然に処分の対象となるものである。


⑤ なお、医事に関し犯罪を行った者については、罰金以上の刑に処せられ、その刑の言渡しが効力を失った後であっても、医師法第4条第4号又は歯科医師法第4条第4号に規定する事由に該当するものとして、当然に処分の対象となるものである。

医道審議会医道分科会資料より引用

お気軽にお問い合わせください。03-3527-9247受付時間 9:00-17:00 [ 土・日・祝日除く ]

お問い合わせ